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生命系志望の高校生の学部選び

kimamani-aniki-23.hateblo.jp

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↑上の記事のアクセスが結構あったので、需要はそこそこあるんだな、ということで関連で記事を書いてみました。

 

あくまでも僕の独断と偏見なので、参考程度にしてもらえればと思います。

生物大好きで化学、物理は嫌いという高校生にまず言っておくと、理系の学部に行った以上、化学と物理には必ずどこかで関わることになるので、そこは注意。

 

薬学部

医療系学部として医学部、歯学部、看護学部と並べられるけど、教授曰く、

「この薬品、なんで効くの?どういうメカニズムで聞いてるの?患者に合わなかったり副作用が出るとしたら、化学物質(構造式で)のどこが原因なわけ?」

という質問に対して、きちんと答えられるのが薬学部で、答えられる人が少ないのが医、歯、看護学部なんだそう。

医歯看護と薬の関係は、工学部と理学部の関係に近いのかも。

「理由は置いておいてとりあえず使おう」という立場と、「なんでそういう現象が起きるのか」という立場と。

製薬学科・創薬学科・薬科学科など(4年制)

僕の所属はここ。

薬を作ったり、改良したりするのがメインの目的。でも病気の発生メカニズムの研究とかもしてるので、全てが化学だけではない。

学部時代には、生物、物理、化学と幅広く学ぶ。

ただ大きく分けると生物系と化学系があって、

生物系は体のメカニズムを解剖や実験などによって探求したり、がんとかアルツハイマーの発生機序を研究しながらそれに対する新薬の開発をしたり、という感じ。こちらはイメージ的には高校の生物に近い。

化学系は主に有機合成が中心。白衣を着て、化学物質と毎日にらめっこするというのはこっち。でも新しい薬(要は化学物質)を生み出すというのは確かに面白いと思うし、厳しいという一面もあるんだけど薬学部が一番求められてる分野、部分かもしれない。イメージ的には高校の有機化学かな?

他にも物理化学や分析化学を研究する人もいて、物理化学は薬物の形状(粉、カプセル、錠剤)によって薬がどのように体内で作用するのかといったことを調べていて、分析化学はアバウトで簡単なイメージでいうと食品検査や衛生検査(つまり、そこに何が、どのくらい、入っているのかを調べる)。

ちなみに漢方学とか微生物学なんかも研究されている。

薬学科(6年制)

主には薬剤師を養成する学科。

大学にもよるけど、どうしても臨床の面が強いので、生命系の研究をするとなると難しいかも。

国立大や一部私立大であれば、病院実習もありながらハードではあるけど研究も可能かもしれない。

ただ、薬学部が4年制と6年制に別れてから、本格的な大学院の研究室では4年制の学生しか受け入れない、ということもあるので、ここは当然だけど薬剤師になりたい人が行くべきだと思う。

 

農学部

有機化学云々というよりは、バイオ、生物工学といったものが強い気がする。

遺伝子組み換え、とかはドンピシャの分野。

獣医学であったり、樹の健康を学ぶ分野もあるそうなので、結構幅広いかも。

ただ友人の話を聞くと、驚くことに都市工学?も農学の範囲だそうで。

例えばビオトープとか緑地の配置とか。

代表的なものを言うと、地理選択者はわかると思いますが、ロンドンのグリーンベルト大ロンドン計画と呼ばれ、ロンドン中心部の人口過密を解消するために、郊外への移転を図った)も農学の範囲なんだそう。

てっきりそういうのは工学系の範疇だと思ってたので、個人的にかなり驚きました。(生命系とはあんまり関係ないけど・・・)

ただし農学部はどうしても数が少ない(私立上位だと関東でも明治とか東京農業くらい?)ので、メジャーな選択肢として入りづらいのかもしれないけど、国立だと結構面白そうな研究をしているので、バイオ系をイメージしてる人は詳しく調べてみるといいかも。

関東の国立だと東大の農とか千葉大の園芸なんかが入るのかな。

理工学部・工学部

応用生物・生物理工・バイオ学科

これはもう完全にバイオ、という感じだと思う。

友人の話によるとラットの解剖なんかもあるそうなので、バイオや遺伝子組み換えなんかに興味がある人は農学部同様検討してみるといいかも。

微生物を利用した新素材の開発なんてことをしてる研究室もあるみたいで、思った以上にバイオでできることって幅広いのかもしれない。

関東の国立だと東工大生命理工なんかが該当するのかな?

理学部

生物・生物化学学科

いのちってなに?いきものってなに?どんな仕組みになってるの?

キーフレーズとしてはこんな感じでしょうか。

理学部生物学科(以下、理生と呼びます)は今まで紹介してきた学部よりもずっとずっと、生物そのものの探求に焦点を当てる学科です。

ただ友人の話によると、皮膚や組織の仕組みというのが医学や薬学の主に分野であるのに対し、どちらかというとDNA、細胞間シグナル伝達や発生の仕組みなど、高校生物で扱った分野をかなり掘り下げるようなイメージがあります。

生物学科は実際に海や山に行って生物についても学び、生物化学学科は研究室でミクロな視点で研究しているという印象が強いです。

何より理学部に特徴的なのは、「何かを作ろう」ではなく「どうなってるんだろう」という部分に主眼を置くという点です。

なので理学を軽く見る傾向にある日本では工学部より就職が悪いとか言われますが、大事な学問ですし。どちらかというとものづくりするより研究員や教員になる方が向いている人が多いような気がしないでもないです。

 

 

若干話はそれますが、理学はかなり大事な学問です。

日本では明治維新で殖産興業が掲げられたために、「なんで?」という原理よりも「ものを作ったり、動かす」という技術面がどうしても重視されてしまったために、理学は

軽く見られる傾向にあります。

確かに日本人は他国の方に比べて手先が器用なんていう風潮もありますし、実際日本企業の技術力は高いものがあるので適材適所だと言えるかもしれませんが、科学を扱う以上、理学を軽視するわけにはいかないのです。

いまいち実感がわかないかもしれませんが、理学を軽視した成れの果てが、東日本大震災での原発問題でしょう。

原子力発電システムがどのように動いているのか、そもそも原理はなんなのか、という理学の部分を軽視して、「まあ安全ぽいし使えてるしとりあえずいいじゃん」でそのまま進めてしまったからこそ、あのような事故が起きてしまいました。

今はうまくいっていても、理論がわかっていなければ非常時に必ずイタい目を見る。

だからこそ、理学は工学と同様に重要な学問です。

理学部を志望に挙げると「就職は?」なんて言葉を浴びせられるかもしれませんが、原理を、「なんで?」を本当に追求したいと思うのであれば、ぜひ勇気を持って理学部に進んでほしいと思います。本当に好きなことを探求して極めれば、求めてくれる人は必ずいるはずです。

 

 

医学部

この記事を読んでいる方は、生命系勉強したいけど医者になって臨床行きたいわけじゃないんだよな、という人だと想定しています。

医学部に行くと、どうしても臨床がメインになります。医学系の研究をしたくて医学部に行きたいと思った場合は、実際問題、東大京大阪大に進学しないと厳しいのではないかと思います。

ただ友人に聞いた所、九州大学には医学部生命科学科という学科があるそうで、詳しいことは聞けなかったのですが、医学研究科の研究に近いことを勉強しているんだそう。

なので、少し詳しく調べてみるといいと思います。

歯学部

歯学部はほとんど歯科医になる人ばかりで、研究者というのはあまり聞いたことがないような気がします。

研究と言っても、顎部や、歯のエナメル質についての研究が主で、どうしても臨床の手法や、臨床に近い分野の研究になってしまいがちなので、あまり生命科学の研究としては向かない気がします。

看護学部

看護学部で研究というと、どうしても患者さんのQOL(Quality Of Life)を向上させるにはどうしたらいいのか、といった内容が多く、生命科学とは若干異なる気がします。

 

 

 

最後に

ここまで書いておいて言うのもアレなんですが、特にリケジョの方、本当に生命科学研究したいですか?

近年はiPS細胞やらSTAP細胞やらで生命科学のイメージが急上昇していてそれはいいんですが、生命科学系の研究は人材が溢れていて、生活に困る人が多くいる、実情厳しい世界であるというのもまた事実です。

テレビでやっているような簡単な世界ではありません。

そして近年、リケジョ、リケジョと言ってなんだかちょっと気味悪いくらい理系の女性がもてはやされてます。

確かに理系は今までどうしても男子が多かったですし、女性も理系に進出しよう、という流れはもっともですし大賛成ですが、ちょっともてはやされすぎて進路について女性の方が真剣に考えにくくなってしまっているような気がします。(リケジョ流行ってるからなんとなく理系、みたいな。)

僕のそばには安易に生命系選んで失敗してる女性が何人かいるので、戒めという意味で言わせていただきました。

ただ理系文系問わず新しいことを知るのは楽しいですし、もし生命科学が本当に好きだと熱意を持って思ったら、是非恐れず飛び込んでみてくださいね!

 

 

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